この夏、有馬記念館では夏休み企画として、小・中学生を対象にした子ども向けの展示を行います。
参勤交代で1年おきに久留米と江戸でくらしていたお殿さま。今回は江戸でのお殿さまの仕事として「大名火消(だいみょうびけし)」を紹介します。
50年ぶりに公開される「有馬火消行列図(ありまひけしぎょうれつず)」や火事兜・火消装束など、大人も楽しめる展示となっています。
名君と慕われた第十代藩主、有馬頼永(ありま よりとお)による楽しい案内も必見です。
有馬則維(ありま のりふさ)
筑後国久留米藩第六代藩主。学問を好み、また干ばつに困っていた領内の庄屋の訴えを受けて、ただちに筑後川の工事を草野又六に行わせるなど、決断力に優れていました。
一方で、ぜいたくや派手なことが好きで、将軍家からたまわった犬を参勤交代の行列に連れていったりもしました。
定期的に展示変えを行っておりますので、こちらで紹介した収蔵品が展示されていない場合もございますが、ご了承ください。
有馬頼永(ありま よりとお)
筑後国久留米藩十代藩主。治世わずか3年ほどでしたが、その間倹約に努め大規模な藩政改革に着手しました。仁慈に篤く先見の明もある名君として、尊敬され、明治十年には久留米城跡に建立された篠山神社に藩祖豊氏の霊と共に祀られました。
江戸時代のお殿さまは、普段は絹の着物に絹のはかまをはいていました。ぜいたくで知られた、第六代藩主有馬則維公ならなおさら?
一方で、藩の財政再建に努め、倹約に励んだ第十代有馬頼永は、木綿の着物を着用しました。さらに、頼永の奥さん・晴姫(はるひめ)は、アクセサリーを金銀のものから真鍮(しんちゅう)や竹、木でできたものに変えるなど、夫婦で徹底して倹約しました。
年の始まりを祝う行事を描いた絵です。
お正月はお祝いをするだけではなく、公的な行事でもあったため、普段は質素な食事をしていても、ぜいたくなごちそうや、お菓子を用意する必要がありました。別の記録では、ようかんやカステラの名前なども見られます。
江戸時代のはじめごろは、一汁二菜(汁物とご飯とおかず二品)と質素でしたが、天下泰平の世の中になると、タイやヒラメ、昆布、からすみ(ボラの卵巣を干したもの。珍味)、鳥肉など、しだいにぜいたくな食事になっていきました。
しかし、藩の財政が悪くなると、質素になる場合もありました。たとえば、第十代有馬頼永は、倹約していたので、奥さんの晴姫ともども、ご飯も一汁一菜(味噌汁とご飯とおかず一品)でした。
今も昔もタイはめでタイ!
ようかんはようかんで食え!
欲しがりませんカツまでは!
江戸時代には、牛や豚などの肉は避けられておったし、さすがのわしもトンカツまでは所望せぬぞ。
しかし一汁一菜とは、我が子孫のわりには質素な食事であるな。お殿さまの名が泣くぞ。
江戸時代のお殿さまは、ずっと自分の領地にいたわけではなく、参勤交代という制度により、一年ごとに江戸と領地を往復しなければなりませんでした。
また、正室(奥さん)と子どもも江戸に住むことが義務付けられていたので、有馬頼永のように自分の領地で亡くなった場合は、その最後に立ち会うこともできませんでした。
早死にしたのも、久留米のためと思えば悔いは残りませんぞ。……多分。
それに私の死から18年後、ようやく久留米に来ることができた妻の晴姫は、その後長年にわたって、梅林寺の我が墓前に参ってくれたみたいですから。
安政期(1854年~1859年)の火消行列を描いた絵です。
御前とあるのが当時の藩主、第十一代有馬頼咸(ありま よりしげ)公です。
有馬頼咸(ありま よりしげ)
筑後国久留米藩第十一代藩主。第十代有馬頼永の弟。
兄・頼永の後をついで藩政改革を継承しましたが、幕末、動乱の時代に翻弄され、久留米藩最後の藩主となりました。
江戸時代のお殿さまも、お仕事に追われて大変でした。
久留米のお殿さまは、特に、大名火消の役についていたため、いざというときには行列を率いて駆けつけました。
Q:展示されている「桑名の焼はまぐりの貝がら」は本物ですか?
A:本物です。江戸時代、旅先の桑名で食べた焼はまぐりに感銘を受け、貝殻を持ち帰られたそうです。
ですから、由緒正しい江戸時代の本物の「桑名の焼はまぐりの貝がら」なのです。
有馬記念館では、2011年7月24日(日曜日)と、8月7日(日曜日)の二日間、【企画展】夏休みこども記念館―江戸時代のお殿さまのくらし―展に関連した体験イベントとして、小・中学生を対象に【体験イベント】『江戸時代を写しとろう! 拓本体験』を行いました。
普段あまりやることのない拓本という伝統技術を、この機会に体験してみた子どもたちの様子を、以下に紹介します。
「江戸時代を写しとろう! 拓本体験」は久留米市文化財サポーターの皆さんのご協力のもと、7月24日と、8月7日の二回、行われました。
なお、イベントは東郷記念館で行われました。
拓本とは、紙と墨を使って、ものの形を写し取る技術です。
ごく簡単なものだと、十円玉に紙を重ねて、その上から鉛筆でこすって形や模様を浮かび上がらせる、というのも拓本になります。
また、釣り上げた魚に墨を塗り、紙をあてて取る魚拓も、拓本の一種です。
ただし、今回の体験イベントでは、江戸時代の瓦など貴重な資料を使うので、もうちょっとていねいなやり方で行います。
こちらで紹介している画像は、江戸時代の鏡の拓本を取っているところです。皆さんはうまく取ることができるでしょうか。
開催期間 | •2011年7月16日(土) ~ 2011年9月5日(月) •休館日は毎週火曜日、火曜日が祝日の場合、その翌日が休館となります。 •また、企画展終了後の2011年9月6日から9月9日までは、作業のため休館させていただきます。ご了承ください。 |
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開館時間 | •10:00 ~ 17:00(入館はなるべく16:30までにお願いします) |
入館料 | •一般…200円(150円) •小・中学生…100円(50円) •小学生未満…無料 •( )内の50円引きの料金は、20名以上の団体料金です。なお、小学生未満の児童や、土曜日の高校生以下の方など、無料で入場されるお客様は団体の人数には含まれませんので、ご注意ください。 •毎週土曜日は、高校生以下の方は無料となっております。生徒手帳等、身分を証明できるものを提示してください。 •障害者とその介助者1名は無料となります。ご来館の際は障害者手帳等を提示してください。 |